課長は私の憧れ

翌日出社するとエレベーター前で後輩の榊麻友(さかきまゆ)22歳に会った
麻友は私と同じ企画営業部営業課の事務をしているが小柄な体型からみんなに愛されており常に彼女の周りはお花畑のようにピンク一色だ
麻友は今年城北女子大を卒業しうちへと入社してきた。

『おはようございます。先輩』

「おはよう、麻友ちゃん」

『先輩、今日の当番は私ですか?』

「そうよ」

『了解です』

当番とはお茶当番のことだ
私と麻友ちゃん日替わりで当番をこなす
当番って言っても、課のメンバーにお茶を出すと言ったシンプルな当番のこと

私達は、他愛も無い会話をしながらフロアーへと向かった

麻友ちゃんと私の席は向かい合う形になっており、窓際に課長の席がある

麻友ちゃんは、机にカバンを置くと給湯室へと向かった

『おはよう』

「あ、課長おはようございます。」

『今夜なんだが、終業後下で待ってて欲しい
ゆっくり話せる店を予約したから』

「わかりました。
小中さんと佐伯くんには…」

『さっきエレベーターで会ったから話といた』

「わかりました。ありがとうございます」

それだけを伝え課長は自席へと座った

始業を開始するチャイムがなった

しばらく仕事をしていると、向かいから麻友ちゃんが私を呼んだ

「どうかした?」

『はい…この伝票なんですけど何度打ち込んでもデータが未存在で』

「どれどれ…営業担当は柴田さんか
多分、柴田さんが情報を繁栄してないんだと思うから、一応確認はしてみるね」

『はい、ありがとうございます。
私も同行して良いですか?』

「うん、良いよ」

私がそう笑って頷くと麻友ちゃんは紙とペンを持って私の後を付いてきた

「あ、柴田さん。
この伝票データ繁栄されてないんだけど…」

『あれ?繁栄したはずなんだけど
ちょっと待って』

柴田さんは机の引き出しを開け、ファイルを確認した
『あ、ごめん。入力してないや
今やるわ』

そう言うと柴田さんはすぐ作業をした

私達はそれを見届けてから自席へと戻る

『先輩、ありがとうございます』

「いえいえ。柴田さんは結構抜けたりすることが多いのよ。あー見えて28歳なんだけどね」

私は苦笑いしながらそう麻友ちゃんへと説明した

『倉持ー。ちょっと良いか』

島の一番端から課長が私を呼んでいる

「はい、課長。なんでしょうか?」

『この伝票の在庫を一覧にしてまとめて提出してほしい』

「いつまでに?」

『金曜日までにお願い出来るか?』

「わかりました」

金曜日って明後日じゃん

私は伝票を預かると早速作業へと移った

にしてもかなりの量の伝票だなぁ

私は一覧を完成させると麻友ちゃんに「備品庫にいるね」と声をかけ、席を立った

備品庫はフロアー、一番端にあり薄暗く寒い
備品庫で作業をしてると時間も分からないから私はあまり好きじゃない

トントン

しばらく作業してると備品庫の戸が叩かれた

「はい」

返事をすると、ドアが開き課長が現れた

『10時の休憩逃しただろ?』

「え?」

『ほら』と言って課長は高そうな腕時計を見せてくる

時刻は10:30だ

『俺も逃したから、倉持と休憩しようと思って』

両手にはコーヒーを持っている

「ありがとうございます」

お礼を良い受け取った

沈黙が続き気まずい雰囲気を破ろうかと思ってたら課長から話を始めた

『ずっと思ってたんだけど、倉持って愛空って名前なんだな。珍しいな』

「両親が空が好きでどうしても子供の名前には空を使いたかったみたいで
私は長女ですが、妹には咲空(さくら)と名付けましたよ」

『妹は何歳だ?』

「今年23になります」

『そうか。でも素敵で愛らしい名前だな』

「ありがとうございます。」

しばらくして課長は仕事へと戻った

さすがにお昼休憩はチャイムが聞こえ私は備品庫から戻った

私に気づいた麻友ちゃんが『先輩、今日お昼一緒に良いですか?』って聞いてきたので即答した。今日、美幸はお母さんの病院に付き添わなきゃならないから半日で帰るって言ってたので寂しくお昼を食べようと思ってたから、麻友ちゃんからの誘いはかなり嬉しい

うちの会社の近くにはオシャレなレストランも多いが私は大体を社食で済ませる

社食のが移動時間も短いし、ゆっくりできるから

でも今日は違う。元から気になってた洋食レストランのワンコインランチを食べようと考えてたのだ

麻友ちゃんと2人、会社から徒歩3分の小さな洋食レストランへと入り、ワンコインランチを食べた

『先輩って好きな人とかいないんですか?』

「好きな人ね…。今はいないかな」

『そうなんですか。課長とかどう思います?』

「え?課長!?
課長は仕事も出来るしきちんと周囲の状況を把握してくれてるからやりやすいよね」

前の課長は全く周囲の状況を見ておらず、自分だけがって考えの人だった
でも上條課長は違う。ちゃんと周囲を見てるし状況も分かってくれてる。

『そうなんですか…』

「麻友ちゃん、もしかして課長のこと好き?」

『違いますよ!先輩に課長が合ってるんじゃないかと思っただけです』

「え?課長ね…
そんな麻友ちゃんは好きな人いるの?」

『いますよ。企画課の小林智(こばやしさとる)課長です』

企画課課長小林智さんは、上條課長と同じ29歳で上條課長の同期である
2人が並ぶとかなりイケメンだと社内の噂だ

「小林課長ねー
あまり話したことは無いけど良い人だと思うよ」

『本当ですか?実は今夜飲みに行く約束なんです』

「小林課長と?」

『はい。昨日エレベーターで会って思い切って誘ったら了承してもらいました』

「そかぁー頑張ってね!」

私達は、社へと戻った

戻ってすぐ課長に呼ばれた

『倉持悪いんだけど、この資料大至急パワポにしてくれないかな?』

「今日中とかですか?」

『あぁ、悪い』

「わかりました。やってみます」

私はそう言うと自席へと戻り作業へとかかった

15時の休憩を迎えても終わらず、休憩が終わる頃終わったので休憩へと入った

うちの会社は基本自由な環境で休憩が取れなかった分を休憩終了後にとっても問題はない
社長が厳しい中でやるのが嫌いなタイプらしい

休憩終了後、私は出来たパワポを印刷し課長へと提出した
課長がいないのは社内会議へ参加してるからだ
課長の机にある書類入れに提出をした

< 3 / 30 >

この作品をシェア

pagetop