守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「それより山瀬! 全然食べてないだろう!? 俺の作った飯が食べられないのか?」

「い、いえ! いただきます」


いきなり矛先が自分に向いた事に驚いたのか山瀬さんはかき込む様に紫色の物を口に入れた。


「山瀬さ……」

「……うっ……」


突然の呻き声と共に山瀬さんは体の力が抜けたかのようにその場で固まってしまう。


「お茶……早くお茶を飲んでください!」


山瀬さんにコップを差し出して半ば強引に飲ませる。
そこでやっと意識を取り戻したかの様に口を開いた。


「あ、ありがとうございました……」


少し震えた様な声に私は思わず彼の手を握った。


「大丈夫です、大丈夫ですから」

「……はい」


大将には聞こえないように小声で言いながら彼の手を強く握りしめた。
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