守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「よっし！　終わりだな！」


大将の威勢の良い声が作業の終わりを表していた。
荷物が少なかったお陰でさほど時間は掛からずまだお昼前だった。

これから店に戻って荷ほどきをしても十分に開店時間には間に合いそうだ。


「大将！　やっぱり私も店に出ます」


大将は小さくタメ息を吐くと首を横に振る。


「海咲……お前にはまだやる事が残ってるだろーが」

「……え？」


やる事……？

大将の言葉が理解出来ず首を傾げる。
考えてみても心当たりはない。
いつも単刀直入に物事を言う大将にしては曖昧な気がする。

考え込むを私をよそに大将の視線はいつの間にか山瀬さんに変わっていた。