守りたい、不器用な人。～貴方と始める最後の恋～

「海咲にもそうだが……山瀨さんにも借りがあるからな」

「借り？」


大将の言っている意味が分からなくて2人同時に首を傾げた。


「2ヶ月くらい前……お前らのデートをぶち壊しちまっただろう？」


いきなりの事に頭を悩ませていれば大将は深くタメ息を吐きながら山瀨さんの肩を叩いた。


「お前が勇気を振り絞って海咲を映画デートに誘っただろう？」


大将の言葉で私は思い出したように頷いた。

映画の約束をしていたけれど、大将に用事が入ってしまって急遽店に出なくてはいけなくなった事があった。
その日は結局、映画は見ずにアミューズメントパークで軽く遊んで帰ったんだっけ。
結果的には楽しんでしまったから仕事が入ったという記憶は何処かに消えてしまっていたらしい。


「あ、あの時の事ですか！！」


考え込んでいれば山瀨さんの大声が響き渡った。
そのすぐ後に照れ臭そうな顔をしながら山瀨さんは小さく口を開く。