守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
***


店へと帰れば、営業中の看板は既に中に入れてあった。
しかも店の明かりまで消えていた。


閉店作業くらいは手伝おうと思っていたが……。

山瀨さんと一緒にいると楽しすぎて、時間を忘れてしまった。


「……鍵掛かってますね」


扉を開けるがそれは開くことはなかった。

鍵を開けようと鞄に手を伸ばすが、すぐにその手は止まった。


「……ミサキさん?」


不思議に思ったのか山瀨さんは私を見ている。


「……山瀨さんが開けてください」

「え……?」

「大将から鍵貰いましたよね? それを使って」


そう言って笑えば山瀨さんは少し固まったけれど、すぐに満面な笑みで頷いてくれる。
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