守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
***


「拓海先輩……? 何処に行くんですか?」

「何処って、デートだろう」

「へ!?」

「いいから早く来いよ」


ホテルを出た私たちは街中を歩き回っていた。

昨日とは打って変わった気持ちの良い天気。
外を歩くには打って付けの気温。

繋がれたままの手から感じる温もりは懐かしい。
まるであの頃に戻ったようだった。


「相変わらず強引ですね」

「好きだろう?」

「……」

「そんな冷ややかな目で見るな」


2人で笑い合って歩く。
そんな当たり前のことがやけに嬉しかった。
< 264 / 297 >

この作品をシェア

pagetop