俺様社長の溺愛宣言
「…渡辺満里奈を知ってるのか？」
「…知ってるもなにも、私の課の先輩ですから」

零士の問いに、困惑ぎみにそう答えた亜香里。

「…そうか…悪かったな。あまりにも後ろ姿が似てたから」

そう言って行こうとする零士を、亜香里は咄嗟に呼び止めた。

「…御崎社長！」

亜香里の言葉に、零士は振り返る。

「…渡辺さんは、定時に上がりました。伝言があるなら、伝えますが？」

『定時に上がりました』？

どう言うことだ？満里奈はまだ、アメリカに居る筈なのに。

「…君、今のはどういう意味だ？」

零士の言葉に、キョトンとする亜香里。

「…定時に上がったとは、満里奈は仕事に来ているのか？」

あまりにも怖い顔をして居る零士たじたじになりながら、コクコクと頷いた亜香里は、長居は無用とばかりに軽く会釈して、その場を去った。

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