俺様社長の溺愛宣言
…満里奈は目を覚まし、ゆっくり目を開けた。

「…満里奈」
「…御崎社長」

握りしめられた手を見つめた満里奈は、まだぼんやりとする視界の中で、見覚えのある指輪に気がついた。

「…その指輪」
「…満里奈と、ペアのリングなんだけど、満里奈は持ってくれてるのか?」

「…」

満里奈と、零士のお揃いの指輪?これは、一馬が満里奈に贈ったものじゃなかったのか?

そんな事を思いながら、満里奈は、首にかけられたネックレスを取りだし、指輪を零士に見せた。

「…ほら、デザインが同じだろ?」
「…本当だ…これ、御崎社長がくれたものだったんですね」

満里奈の言葉の意味がわからなくて、零士は首をかしげた。

「…お兄ちゃんからだと思ってたから」
「…指輪の内側を見てみろ」

零士は困ったような笑みを浮かべるとそう言った。満里奈は言われるままに指輪の内側を見た。

『r.to.marina』

零士から、満里奈へ。そう掘られていた。

身体は傍にいなくても、心はずっと、傍にいる。

零士は満里奈にそう伝えたかったのだ。

「…もう、満里奈に会えないと思った」
「…私も思ってました。…手術から目が覚めたら、こうやって、手を握っててくれるって言ったのに、いなくて、凄く悲しかったです」

そう言って涙を浮かべる満里奈に、零士はそっと口付けた。

「…ゴメン…でも、もう離れない。いや、絶対離さない。満里奈をこんなにも愛してるのに、誰が離してやるか」

「…私も、もう、離ればなれは嫌です。だって、ずっと、御崎社長が恋しくて、でも、やっとこなにも御崎社長が好きなんだって気づけたから」

零士は目を見開いた。

初めて聞く、満里奈の零士への想いを。

零士は心が震えるほど嬉しかった。
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