俺様社長の溺愛宣言

満里奈side

…それから、私と零士は、零士のマンションに向かった。


同じベッドに入り、零士は私をぎゅっと抱き締めた。

…よくよく考えてみたら、私はまだ、零士に抱かれたことがない。

抱かれたいと、今強く思う。

…だから、勇気を振り絞って『抱いてほしい』、そうお願いした。

でも、零士は頷いてはくれなかった。

「…どうして?」

涙声で、不安そうな顔をして、そう言った。

零士は私を抱き締め直してこう言った。

「…満里奈を愛してるから。…満里奈を大事にしたいから。…満里奈の家族に祝福されたいから…満里奈が笑顔で幸せだって心から言えたら、その時は、必ず満里奈の全てを俺のモノにする。だから今はこうやって、抱き締めるだけ」

「…零士さん」

自分の感情に身を任せて、身勝手に抱かない零士に私は胸が温かくなるのを感じた。

私の事を考えて、私の幸せを一番に願ってくれる。

私は、零士の体に自分の腕を回してぎゅっと抱きついた。

その夜、私は、本当に幸せだった。

…でも、目が覚めたらまた、零士がいないんじゃないかと思って飛び起きた。

「…零士さん!」
「…満里奈?」

少し驚いたような、でも、寝起きなので、無防備な零士の顔。

私はホッとして、涙を浮かべる…と。

「…っ?!」

零士が私を抱き寄せた。そして、私の髪を優しく撫でた。

「…俺は、ここに居る。…怖い夢でも見たか?」
「…零士さんが、また、居なくなってたらって考えたら、怖くなって」

私の言葉に、零士はより一層強く私を抱き締めた。
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