俺様社長の溺愛宣言
…朝方、目が覚めると、零士が私を抱き締めたまま寝息をたてていた。

無防備なその寝顔に、どこか子供っぽさが伺えて、自然と笑みがこぼれた。

…その寝顔に触れてみたい。

ふと、そんな衝動にかられた。…今は、熟睡してるし、大丈夫かな。

そんな事を思いながら、そっと頬に触れてみる。

キメが細かくてスベスベ。手入れの行き届いた女性のような肌。感心してしま…

「…満里奈から俺に触れたのは初めてだな」

その言葉に目を見開く。

すると、零士はクスッと笑って目を開けた。

「…い、いつから起きて」
「…満里奈が俺に触れる少し前から」

恥ずかしすぎる。私はサッと手をのけようとしたが、零士はすかさず私の手を掴む。

「…細い指だな」
「…離してください…は、恥ずかしいです」

「…自分から触っておいて?」

返す言葉もありません。

恥ずかしがる私を抱き寄せて、自分の腕のなかに閉じ込めた零士はまた、私の頭を優しく撫でる。

「…こうされるの好きです」

ポロッと本音を言えば、零士は面食らった顔をする。

「…や、あの、嘘です」

ヤバい!もう、さっきから、墓穴ばかり掘る。

「…嘘が下手だな」

そう言って、零士はクスクスと笑った。

「…社長、…あの、やっぱり一度帰ってもいいですか?今日も仕事ですし、服もないし、化粧品も全然ないので」


「…わかった。俺も一緒に行こう」

その言葉に驚く。わざわざそこまでしなくても。

「…1人で大丈夫ですから」
「…満里奈の兄貴がいないとは限らない」

心配性だな、と思ったが、拒否しても付いてきそうなので諦めた。
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