俺様社長の溺愛宣言
…零士は今、何をしてるんだろうか?

仕事をしてるのは確かだ。だが、連絡すらくれない。

もしかしたら、零士は私に手術を受けさせるためだけに、アメリカに一緒に来たに過ぎないのかもしれない。

この指輪は、零士からではなく、一馬からなのではないかと思えてならない。

私と生涯共に生きると、結婚しようと、言ってくれてるのは一馬だ。

…一馬に聞いてみようか?

その夜、一馬が病室に来たので、私は指輪を見せて、問いかけた。

「…これ、お兄ちゃんが?」
「…」

指輪を見て、一馬はしばらく黙りこむ。

「…違ったらごめんなさい」
「…そうだと言ったら?」

「…お兄ちゃんの事、ちゃんと考えなくちゃって、おもう、かな」

結婚相手として。

「…満里奈」

話そうとする一馬の言葉を遮るように、院内のPHSがなり、一馬の答えは聞けないまま、病室を出ていってしまった。

私は指輪を電気に持ち上げ、それを見つめる。

「…お兄ちゃんなのかな」

謎は解けないまま、私はそれを大事に箱にしまい、袋の中にいれた。


…。





「…御崎社長」
「…その指輪いつからされてたんですか?」

零士の右手の薬指には、満里奈と、ペアの指輪が光っていた。


「…向こうから帰ってきてからずっと付けてる大事なものだ」


そう言って柔な笑みを浮かべる零士を見て、秘書である中島は、なんだか心がほっこりと温かくなるのを感じた。

…きっと、満里奈と、お揃いなのだろうと、わかったから。


しかし、その指輪は良からぬ方向へと満里奈の思いを向けさせることになる。
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