悠久のシャングリラ

見えてきた希望の出口



部屋の明かりをつけ、
睡蓮をゆっくりとベッドに横たえさせる。

青白い顔は、明かりに照らされて、
より一層目立ってしまっていた。


(睡蓮……。
どうして、睡蓮がこんなことに……)


私もみんなも、
誰かが倒れることになるなんて思わなくて。

この状況にひどく困惑していた。

静まり返った空気の中で、
初めに口を開いたのはーー。

悲痛な面持ちで睡蓮を見ていた鈴蘭だった。


「コイツが倒れたのは、
変なもやに襲われたからなんだ」

「もや……? なにそれ」

「オレだって聞きてぇよ!
けど、ソイツがいきなり現れたと思ったら、
睡蓮めがけて吸い込まれていったんだ……」


「そしたら急に倒れて……」と続けた
鈴蘭の顔はどこか怯えが見え隠れしている。

私は黙って、鈴蘭の言葉を聞いていた。

けれど容量の得ない説明に、
状況を見ていない桜と鳳仙は
納得できていなかったらしい。

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