悠久のシャングリラ

取り憑かれた闇



♡睡蓮 side♡

ここは、どこだろう。

暗い暗い闇の中、誰かに呼ばれた声がした。

息が苦しい。 ……体が重い。

今自分が立っているのか、
寝転んでいるのか。

上下の感覚がなく、
自分の手の先すら闇に包まれていた。

ああ、熱い。
手が……、左手が焼けるようだ。

手を伸ばす。
誰かに届くようにと願いながら。


「ーーーー」


低い、男の声が直接頭に語りかけてきた。

けれど、何を言っているのか……
ノイズにかき消されて分からない。

あたりを見渡して見るが、
男どころか人一人おらず。

一寸先まで、闇しかなかった。

瞬間、自分が今ここにいる感覚さえ危うく、
ボクは両手で自分の体を抱きしめた。


……ちゃんと【在る】。 ここにいる。


なのに、
どうしたって不安はついてまわった。

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