悠久のシャングリラ


『私はいいと思う!
今日は暑いし、きっと気持ちいいよ!』

『咲夢梨が、そう言うなら……』


(欠片の見せる夢……? ううん、違う。
これは、私のなくした【過去】ーー)


今までは、
ぼんやりとしたイメージしかなかった。

見せられたものが自分の過去と言われても
あまりピンとくることはなかったのに。

どうしてか、この夢(かこ)だけは、
【私の記憶】だと直感が告げていた。


『ボク読みかけの本を終わらせたいし……
明日はパス』

『奈琉もチャンバラで忙しいぞ!』


奈琉(なる)……、見た瞬間わかった。

髪や目の色、あんなにそっくりなんだから、
きっと分からない方がおかしい。

あの子は、藤だ。

< 123 / 306 >

この作品をシェア

pagetop