悠久のシャングリラ


この服の下にはきっと、
睡蓮の部屋で見た、あの黒ずんだ腕が……。

きゅっと痛くない程度に力を込める。

睡蓮の手の甲を、
自分のおでこに当てた。

元に戻りますように、と
強く強く願いながらーー。


「……心配しなくても、
だいぶ楽になってきたよ」


開いていた反対の腕で、
優しく頭を撫でてくれた。

小さい頃もよくこうして、
頭を撫でてもらっていたものだ。

やっぱり私は、
この温かい手にすごく安心する。

その安心からか、つい頬が緩む。

睡蓮は、そんな私を見て、ふっと笑い
こう付け足した。

< 140 / 306 >

この作品をシェア

pagetop