悠久のシャングリラ


「…百合が傍にいてくれるおかげかもね」

「!」


慈愛に満ちた微笑みに、
頬の熱が意識せずに上昇していく。


(……なんだか、おかしいです……)


この館での睡蓮ーー隼人は、
昔とは何かが違う気がする。

彼は、私にこんなあからさまな慈愛を
向けてくる人だっただろうか。

昔はもっと、
幼なじみの壁があった気がしたけれど。

今はそれがなく、
広くオープンな感じがした。


『キミがボクにとって、
ーーとても大切な人だからだよ』


あの部屋で言われた言葉が、
まだ頭の中を駆け巡っている。

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