悠久のシャングリラ


……でも重い。


水を吸収した服を着ているためか、
とても一人で持ち上げることは無理だった。


(このままじゃ……あたしまで……!)


浮かび上がったのは、
【死にたくない】という必死の思い。



ーーただ、それだけだった。



「咲夢梨!!!」

「っ」


この状況を見たのであろう隼人の叫び声が、この耳にしっかりと届く。


ーードクン。

その瞬間、心を黒いモヤが
覆い尽くしていく感覚を味わった。



嫌だ……嫌なのに……。



「……悪魔に魂を売るときは……、
こんな気持ちになるのかしら……?」



もう腕も限界、持ち上げるのも不可能、
このままじゃ……二人とも助からない。


ならば、いっそーー。

< 203 / 306 >

この作品をシェア

pagetop