悠久のシャングリラ


運良く、
武器を召喚できる指輪は付けたまま。

もしあの化け物が来たとしても、
この拳銃で……撃ち抜いてみせる!

そう心に決めて、
桔梗を守るように一歩前に歩み出た。


「はぁっ!」

「やぁあ!」

「どりゃっ!」


みんながそれぞれに武器を取り出し、
私たちに背を向けた形で化け物と戦っている。


「ふっ!」


睡蓮は援護役なのか、
後方からみんなを助けていた。


(そうだ!
ここからでも、拳銃が使えれば……)


みんなの役に立てる、
そう思ったのだけれど。

もし外したら、待っているのは
仲間が傷ついてしまう未来。

私が傷つけてしまったという、
想像もしたくない恐怖の未来だ。

おそらく人生で一度も拳銃を握ったことのない私にとって、それはあまりに重い責任だった。

拳銃を召喚するのも躊躇われて、
仲間の背中を凝視することしかできない。

ウロウロと落ち着きなく動いて、
桔梗から少し離れてしまった。

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