悠久のシャングリラ


(これは……映像、なのでしょうか?
周りの背景が淡い色でボヤけています……)


そう感じた瞬間、
次の映像に切り替わった。


『ああ、ほ、本当に大丈夫なのか……』

『貴方、少しは落ち着いて!
大丈夫よ。 私たちの子供ですもの』


彼らの視線の先には、
小さな子供が一人で歩いていた。

と思ったら、
何かにつまずき転びそうになった。

なんとか立て直したものの、
フラフラと危なっかしい。


『……やっぱり、
一人はまだ早かったんじゃ……』

『……え、ええ。
ちょっとだけ私も不安になったわ……』


可愛らしい小さな籠を持ち、
財布らしきものを首から下げている。


(【おつかい】というものですね……)


微笑ましくなりながら、
一挙一動を彼らと一緒に見守った。

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