悠久のシャングリラ

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意識が、浮上する。

目を開くと、淡い色合いの世界だった。


(ここは、夢の中……?)


ちゃんと過去が見られることに安堵しながらも、辛い過去だったらどうしようとか、
今更ながらに不安になってくる。

けれど、それは杞憂に終わった。


『~♪』


誰かが歌う、心地よいメロディー。

その歌声に誘われるように、
足を進めていく。ーーすると。


『わぁ! 上手上手!』

『!』

『今のおうた、すごくキレイだった!
ねぇ、もう一回うたって!』

『……誰だよ、オマエ』


女の子は棚の上に座る男の子を、
したから見上げ興奮気味に飛び跳ねていた。

そんな女の子を、
鬱陶しそうに、男の子は睨みつける。

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