【完】好きだという言葉の果てに
「あのさ、オレと采明は、お前が思ってる以上の関係なんだよ。なぁ?そうだろ?采明?」
「…っ」
「そんな風に威圧的にすれば、何でも手に入るとでも思ってるんですか?最低だな、あんた」
「なんだと?!お前、マジで最悪。おい、どけよ。お前になんか采明は渡さない。ふざけんな」
「ふざめてなんかない。あやめさんはモノじゃないんです。でも…あんたがそういうつもりなら、俺が連れて行きます」
ぎゅっと彼女の手を握り締めたままそうきっぱり言うと、一瞬の間があってから、頬に鈍い痛みを感じ、甲斐さんに殴られた事に気付く。
口唇の端が切れたようで、口の中に血の味がまざり、なんとも気持ちが悪い。
「いい加減にしろよ。お前なんかじゃダメなんだよ。采明は。まだ、分かんねぇの?てか、お前ら『まだ』なんだろ?付き合ってもう三ヶ月以上も経ってるっつーのに、関係ないとか有り得ないっつってんだよ。なぁ采明。戻って来いよ。お前のこと満足させられんのは、オレだけだって。好きな女を抱く勇気も覚悟もねぇ奴に、采明は似合わない…」