【完】好きだという言葉の果てに
ガツッ
甲斐さんを思い切り殴りつけて、彼女を抱き締め返した。
「俺は、どんなにあやめさんに嫌われても、この手は放しません」
「よ、しとく…ん」
「俺の中で、精一杯の恋なんです。だから、誰にも渡せない。これ以上傷付いて欲しくない。これが自分勝手なことだって分かってます。でも…でも、甲斐さん、あんたみたいな自分だけで世界が動いてると思ってる人に、俺の大事な人は、絶対に渡せない」
「…ちっ…なんだよ…んな熱くなんなって。ほんと最悪。ばかみてー。そんなに欲しけりゃくれてやるよ…どうせ、最初から釣り合わなかったんだからな…っ」
そう言って、甲斐さんは忌々しげに彼女の顔を見て、去っていった。
彼女の表情は真っ青で、今にも倒れそうだ。