世界で1番綺麗な恋

出会い…あの日の僕

いつもと変わらない、暗い部屋で
僕はパソコンを開いた。
ニュース、掲示板、何も変わらない
誰かの恋や、うわさ話、悪口が並ぶ
僕はそれを見て、あざ笑う
何もないのは僕なのに
何もできない僕を隠すように
あざ笑うのだ。

いつもの掲示板に新しいページが
設立されている。
(kakitsubata〜何もない私)
同じ気がした。
無意識にページを開いた。

《 はじめまして、私はkakitsubataの管理人
ツバキです。私の日常を書き込む
平凡なブログページです。》

なぜか気になる、自分と重なるのか?
なぜだろう?僕はページを進めた。

《今日も、いつもと変わらない
1日でした。
会社も、帰り道も。なにかないかな?》

《今日は、お休みです。
でも何もしなかったなぁ。》

『なんだこれ…』
また、あざ笑いながら
僕は、次の日も、また次の日も
このページを見ていた。

いつの間にか
日々の楽しみになっていた。

いつもと同じ日常
今日も同じだ、帰り道も
夕日も、ビルの隙間の風の香りも
全て同じ、いつの間にか足が急いでいた
家路を急ぐ自分がいた。

家に着き、パソコンを開く
ブックマークからページを開く

『あれ?更新されてない…』

いつもはこの時間更新されていた
kakitsubataが更新されていない
なぜだろ?なぜ?こんなに
気になってるんだろ?

僕は無意識にコメントをしていた。

《初めまして、はじめて、コメントします。
ハジメと申します。いつも、楽しく
見させてもらっています。》

コメントが返る可能性は
0に近い、それが僕の日常
そう思っていた……

更新もないまま、1週間が過ぎた

(ピコン♪)
パソコンの通知音と、通知ライトが
鳴り光る。

パソコンを開くと
kakitsubataの更新….ではなく
コメントの返信が来ていた。

《はじめまして、ありがとうございます!
コメントすごく嬉しいです。
仲良くしてくださいね。》

これで終わる。先がないコメント
返しようがない、何もない僕には
返せいないようだった。
僕はパソコンをそっと閉じた。

次の日、kakitsubataが更新されていた。

《 更新遅れてすみません。
何もなかったはずのわたしに
少しいろいろありました。
辛いことがあって、家に帰り
パソコンを開いたら
コメントが1件ありました。
すごく嬉しくて
つい返信してしまいました。
迷惑だったらごめんなさい。
ここで謝罪します。 》

僕は、はっと思った。
『僕のことだ、辛いこと?なんだろ?』
1人の部屋で、1人の世界で
生きて来た僕とは、違う。
そう思った…
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop