千日紅の咲く庭で
「秋になったらなんか植えようぜ。世話しやすい花とかを、な。」

岳は少しだけ落ち着いた私から離れながら、顔を覗き込むようにして笑顔を見せた。

いつもはクールで整った顔立ちなのに、こうやって笑う時にだけその整った顔を崩して人懐っこい笑顔を浮かべる岳が、あまりにもまぶしくて私は岳と目を合わせられなかった。

返事の代わりに、小さく頷いてみせると、岳は満足したように私の頭をぐしゃぐしゃとかき乱してキッチンの方へと歩いて行った。


そんな岳の背中を視線で追わずにはいられなかった。

岳はいつもそうだ。

口では意地悪なことばかり言うくせに、昔から私がピンチの時にはすぐにやってきてどん底から少しだけ浮上させてくれる。

岳、あんまり優しくされると、私、岳のこと好きになっちゃいそうだよ。


岳の背中を見つめたまま、心の中で呟いた。


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