千日紅の咲く庭で
「そうだ」

突然、何かを思いついたようにして、ゆっくりとソファーから起きた岳は、一度大きく背伸びをする。

「今日の予定、ダメにして悪いって思っているんなら、花梨、ご飯付き合って」

岳が私をご飯に誘うことは珍しい。
いつもは私の家でどちらかが作るか、郷原家で美知おばさんの手料理を食べるかがだもんなぁ。


「せっかく車で来たんだから、ちょっとドライブがてら遠出しようぜ」

岳がこうやって屈託なく笑う顔に私は弱い。
きっと岳にとっては、落ち込む私を励ますための一つの手段なのかもしれないけど。

「あっ、でも。明日、仕事…」

明日は月曜日。営業先に提出する書類を準備するようにお願いされていたから、早めに出勤しようと思っていたのだけれど。

私の口から自然に出てしまった心の声を、岳は当然のように聞いてしまったようで眉間に皺を寄せて睨まれる。

「俺の予定をダメにした罪を償え。」

岳は意地悪な笑顔を浮かべたのだった。


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