千日紅の咲く庭で
岳が車で連れてきてくれたのは、車で40分ほどの最近話題になっている駅周辺の再開発が進むエリア。

駅近くのビルの2階にあるカリフォルニアスタイルを基調とした明るくて開放的な海鮮バルを岳は案内してくれた。


悩んでいる私を横目に岳がスマートに注文してくれて、その姿が私の眼にはやけに新鮮にうつった。


岳が注文してくれたグリスオイスターはハーブバターの香ばしい香りと相まって本当においしかった。

エビときのこのアヒージョを食べながら岳の横顔を眺めていたら、気づかれてしまったようで怪訝な顔をされてしまう。

「岳は、よくこういう所に食べに来るの?」

慌ててその場を凌ごうとして、見つけた当たり障りのない話題。
そんな私の慌てぶりには気づかないようにして、小さく頷いた。

「この間、仕事の関係でね」

たった、それだけの答えなのに。

誰と来たのか、その相手が男なのか女なのかがすごく気になって仕方ない。

「ふーん」

私はただの幼馴染だもん。

どこか卑屈になった心が私にそっけない返事をさせた。


< 128 / 281 >

この作品をシェア

pagetop