千日紅の咲く庭で
我が家の前に車が停まる。

結局、私たちはあれからも何となく会話のきっかけが掴めずにいた。
私は車から見える街の灯りを眺めながら、時折ガラス越しに映る岳の横顔を見つめた。



「今日は、ありがとう」
私は助手席から降りて無理矢理に作った笑顔を岳に見せる。

岳は仕事が溜まっているらしく、マンションに帰るみたいだ。
私も明日の朝は早いから早めに休まないと明日がつらい。

それでも、もう少し岳と一緒にいたいと思うのは、私のわがままなのだろうか。

一緒に居たいと口に出しかけたところで、私は岳の家族でも、彼女でもないただの幼馴染なんだということを自覚してしまって、すぐさま口を噤んだ。


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