千日紅の咲く庭で
「…りん、なぁ。おい!! バカ花梨!! 座らねえの?」

ぼおっとしていたら、ティッシュを丸めて投げられた。
外見は大きく変わったのに、性格の悪さも口の悪さも全く変わっていない。

「座るってば!!」


私は自分の所定の席に座る岳を冷たく睨んで、お母さんの所定の席に腰をおろした。
岳にとってのテーブルを挟んだ右隣。

テレビの正面にある席。


テレビから少し離した所に置いた、お母さんの暖かい笑顔の遺影に自然と視界に入ってくる。

遺影のお母さんが、私に向かっていつものように微笑んでいる感じがする。


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