千日紅の咲く庭で
「いえ、実はまだなんです。この歳になって、親友とか友達が減るって結構キツイですね。」
いつも明るい香奈ちゃんも、かなり参ってしまっているようで重い溜息を吐いた。



そうだよね。
私だって、今更学生時代からの友達や親友が減るのを想像すると気が滅入ってしまう。


香奈ちゃんの話に相槌を打ちながら、ふと岳の顔が浮かんだ。

もし、岳にいつか気持ちを伝えてダメになったら、きっと私と岳は今のような「ただの幼馴染」になんて戻れない。


お母さんが居なくなって、気付いたら私の隣にはいつも岳が居てくれた。

だから、寂しさを感じることはあまりなかったけれど、いまさら岳が居ない生活を考えることなんて出来ない気がした。


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