千日紅の咲く庭で
「あなたたち、花梨ちゃんに飲ませすぎよ!!!」

片づけをしながら、美知おばさんがおじさんを怒っているのが聞こえてくる。


「そんな人いるのかな…」
私はそんな美知おばさんたちのやり取りも右から左へと聞き流しながら、小さく言葉を漏らした。



岳なら許してくれるだろうけど…。
でも、岳はダメ。

岳だけは、絶対にダメなんだ。
私の大切な幼馴染なんだから。

幼馴染は幼馴染のまま、うん。それがいいんだ。


岳のこと好きな気持ちは、そっと私の胸の中だけに秘めておこう。


そんなことを思いながら、私は重たくなってきてしまった瞼を閉じた。



翌朝、郷原家で起きた私を、呆れた様子で岳が見下ろしていたから、私は小さくなるしかなかったのだった。


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