千日紅の咲く庭で
「よかったぁ。杉浦さんの笑顔を見れたから。」

東谷君は心から安心したように言葉を漏らしながら、ゆっくりとベンチから立ち上がる。

「東谷君、本当にありがとうね。」

私も一緒になって立ち上がり、もう一度頭を下げる。

「もう、杉浦さん!!やめてくださいよ」

いつものふざけた調子の東谷君が語尾を伸ばしながら迷惑そうに笑っている。

「じゃ、杉浦さん。おやすみなさい」
「うん、おやすみなさい」

私は胸の前で小さく東谷君に手を振ると、東谷君は笑顔で私に背中を向けて駅に向かって歩き始めた。



小さくなる東谷君の背中を眺めていると、何故だか公園を出た所で東谷君の足が止まった。

ん?

私は東谷君の動きが止まったことを不思議に思いながら小首をかしげた。

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