千日紅の咲く庭で
「『花梨を一生大切にしてくれる覚悟があるって約束してくれるなら、俺も2人のことをこれからは影で見守ります。花梨を幸せにしてください』って。」


そんなこと岳が言うなんて、想像がつかない。
想像がつかないのに、心のどこかが温かくなっていく。

「僕ね、正直そんなこと言われて、ちょっと参りました。だって僕には、そこまでの覚悟なかったから」

東谷君はそう言って、少し困ったような顔をして恥ずかしそうに笑った。



もう正直すぎだよ、東谷君。

教えてくれた東谷君の言葉も、東谷君から教えてもらった岳の言葉も。

私の心を温めるには十分すぎるほどの言葉だった。

< 186 / 281 >

この作品をシェア

pagetop