千日紅の咲く庭で
ようやく家が見える所までたどり着いた時、電気1つ点いていないひっそりと佇む我が家を見てため息が漏れ出てしまった。


ふと、家の前の小さな街灯の灯りのおかげで、門扉の段差に座っている人影が見えた。


遠くから少しだけ目を細めると、その人影が私のよく知っている人影であることが分かる。


「岳?」

すっかり見慣れたシルエットは、遠くからでもすぐ分かって、私の胸を一気に高鳴らせる。

静かに名前を呼んだはずなのに、岳の耳にはしっかり届いていたようで、岳は少しだけ目を細めて私を確認する。


「花梨?」

岳は私の存在に気付いたようで、おもむろに立ち上がると、ゆっくりと私の方へと近づいてきた。

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