千日紅の咲く庭で

「ただいま…」
「お邪魔します」

緊張のあまり、声が少しだけ上擦ってしまった。

「あら、花梨ちゃんいらっしゃい。今日は肉じゃがにしたんだけど、二人が遅いからもう食べてるわよ」

そんなこと、気づいていない美知おばさんがちょこんと顔を出して、迎えてくれた。


食卓にはいつものように美知おばさんが作った料理がたくさん並べられている。
いつもの席で、おじさんがグラスでビールを飲みながらリビングでは岳のお兄さん夫婦と子供たちが賑やかに食事をしていて、美知おばさんがダイニングテーブルに私たちの食事を準備してくれている。


そんないつもの変わらない光景だというのに、今日はなんだかいつもと違って見えてしまう。