千日紅の咲く庭で
□□
「渡したいものがある」
岳からそう言われたのは郷原家の玄関を後にした時だった。
結局、岳も私もビールをおいしく頂いたこともあり、いつものように岳の車は郷原家の車庫に預けることになった。
いつものように徒歩3分の道のりを2人で歩き出した時、岳が思い出したようにそう言った。
「何これ?」
おじさんと美知おばさんの目の前で結婚宣言にもとれる発言をした岳がこのタイミングで、『渡したいものがある』なんて言ったものだから、指輪なんじゃないかってちょっと構えてしまった欲深い私に、車から無造作に新聞紙に包まれたものを持ってきたから、思わず呆れた声をあげてしまった。
「開けてみて」
岳は何だか照れ臭そうに視線をそらす。
「渡したいものがある」
岳からそう言われたのは郷原家の玄関を後にした時だった。
結局、岳も私もビールをおいしく頂いたこともあり、いつものように岳の車は郷原家の車庫に預けることになった。
いつものように徒歩3分の道のりを2人で歩き出した時、岳が思い出したようにそう言った。
「何これ?」
おじさんと美知おばさんの目の前で結婚宣言にもとれる発言をした岳がこのタイミングで、『渡したいものがある』なんて言ったものだから、指輪なんじゃないかってちょっと構えてしまった欲深い私に、車から無造作に新聞紙に包まれたものを持ってきたから、思わず呆れた声をあげてしまった。
「開けてみて」
岳は何だか照れ臭そうに視線をそらす。