千日紅の咲く庭で
「べ、別にそんなんじゃないもん」

冷静に考えたら、岳のご指摘の通り、完全な嫉妬なわけで。
岳と小雪ちゃんの間に今更恋愛感情があるわけないって、2人の反応を見ていたら明らかなのに。

「じゃあ、何でそんなに怒ってんだよ?」

淡々と尋ねる岳に私の答えなんて見つからなくて、岳が納得するような言葉を探し出す前に私はその場から逃げ出すことを選んでしまう。


「もういいっ!!」


気づいた時には私は岳に背を向けて、コートだけを羽織って足早に外へ飛び出した。

29歳にもなって何やってんだ、私。


勢いで玄関から飛び出したものの、シンシンと降る雪の中、街灯だけがやけに明るく見える。
時刻は21時を少し廻った時刻。

親友の家にでも避難しようと思ったのだけれど、財布も携帯電話も全て家の中に忘れてしまった私は、今更取りに帰るわけにもいかないし、だからといって大人しく岳が居る家にすぐに帰ることだって気が引ける。


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