千日紅の咲く庭で
そっか、私の知らない岳を知っている小雪ちゃんに妬いていたんだ。


知らないことだってたくさんあるって分かっているのに、いつの間にか隣にいることが当たり前で、ずっと昔からいつも一緒だった気がしていたけど。

私の知らない岳の顔だってあること、すっかり頭から抜けていたようだ。

「息子だからいうわけじゃないけど、確かに昔は小雪ちゃんと付き合っていたようだけど昔から岳は基本的に花梨ちゃんが一番だもん。花梨ちゃんがそれを信じてあげないでどうするの」

お母さんがビールを飲みながら、満点の笑顔を見せる。


「うん。なんか、話したらスッキリしました」

「さて、そろそろお迎えがやってくる頃なんじゃない?」

私の一言を聞くと安心したような顔を見せたお母さんが壁掛けの時計に目を遣りながら呟く。


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