千日紅の咲く庭で
「岳が予めドレスを選んでいるので、花梨さんはこの中から好きなものを選んでね」


小雪ちゃんに案内されて入ったレストランの中にあるブライズルームには、約10着ほどの真っ白なウエディングドレスが並んでいた。

1つ1つがどれも素敵で悩みながら、私は上半身にドレープをあしらったオフホワイトのマーメイドドレスを手に取った。

「やっぱり花梨さんは、それを選ぶと思った」

隣に居た小雪ちゃんは、嬉しそうに声をあげる。

「えっ?」

「だって、そのドレス、岳も一番最初に選んだんだもん。そのあと色々選んでいたけど、岳の中ではこのドレス一択みたいだったもん」

小雪ちゃんにそんなことを言われると、少しだけ恥ずかしくてくすぐったくなってしまって、私は思わず視線を泳がせずにはいられなかった。


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