千日紅の咲く庭で
「もう準備は万端?」

「お父さん?!」

入ってきた人物は、岳のお父さんだった。見慣れない燕尾服を着たお父さんがいつもの穏やかな笑顔を浮かべている。


「さて、皆さんお待ちですよ」

私の驚きなんて、想定内とでも言うように小雪ちゃんは私を促す。


小雪ちゃんに案内されながら、ついさっき岳と並んで歩いた通路を今度は岳のお父さんと並んで歩いているから不思議な気持ちがする。

岳のお父さんだって、私のことを小さな頃から見守ってくれた一人で。

父親の存在を知らない私にとっては、考えてみたら父親のイメージをする時に一番に思い浮かぶのは隣に居る岳のお父さんだ。

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