千日紅の咲く庭で
「花梨は、そいつのこと好きなのか?」

もう、どうしてそんなこと聞くのよ。
今度は私が眉間に皺を寄せる番。

それなのに岳が私を見つめる視線はいたって真剣で、私はなぜ岳がそんなに真剣に尋ねてくるのか分からない。


「もうだから、ただの後輩だってば!!!」

少しだけ苛立った私に、岳はむすっとしたような顔した。


「後輩が送りオオカミだったら、どうしたんだよ?」


探るような岳は、やっぱりいつもの雰囲気とはどこか違っている。
なんというか、焦っているというか、苛立っているというか、それでいて心配しているというか。


「東谷くんがそういう人で、送りオオカミだったとしても、岳が居たから大丈夫だし」

自信満々に伝えた私に、岳はおおいに呆れたような顔をのぞかせた。

< 65 / 281 >

この作品をシェア

pagetop