千日紅の咲く庭で
「聞いてたの?」

東谷くんとの会話を思い出し、岳に聞かれていたかと思うと急に恥ずかしくなって顔中の温度が3度程高くなったような気がする。

「人聞きの悪いこというな。勝手に聞こえてきた。彼氏?」

きっと岳は、さっきからパソコンで仕事なんてしていない。
岳は無意味にパソコンのカーソルを動かしながら、私に問いかけた。

「会社の後輩。夕方、職場で貧血起こしちゃって、送ってくれたの。」


私の答に岳は瞳を閉じて、安心したように大きく息を1つついた。



「花梨、後輩に口説かれていたの分かってんの?」

なんなんだ、今日の岳は。
これじゃまるで、本当に子供を心配するお父さんみたいじゃない。

私たち、ただの幼馴染なのに。


「なんとなくね」

なんだか答えるのが面倒くさくなってしまって、リビングのソファーに身体の全てを預けるように腰をおろしながら、岳に返事をする。

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