千日紅の咲く庭で
「さぁ、早く早く」

美知おばさんが私の腕を引っ張り、半ば無理やり私を立たせる。

「さあっ!!」

美知おばさんは、私の背中を両手で音が出るほど強く叩いて、私を部屋の方へ向かわせた。

それは、私に気合を入れるためだったのかも知れない。

叩かれた部分は痛みがあることだって分かっている。

それでも、私の中には何の感情も湧きあがってこないで、頭の中はぼんやりと靄がかかったみたいな気分がする。



こうやって言ってくれる美知おばさんだって、親友が急になくなって辛いはずなのに、ずっと気丈にふるまっている。


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