千日紅の咲く庭で
私の涙にいち早く気付いたのは、近くで家事をしていた美知おばさんだった。


美知おばさんのふっくらとした温かな腕が私の背中に廻される。

「大丈夫、大丈夫。花梨ちゃん大丈夫だよ」

温かな優しさいっぱいの愛情と一緒に、美知おばさんは私を抱きしめてくれてた。



どこかお母さんに似た暖かさに、私は一気に涙がこぼれ出した。



「ねぇ、お姉ちゃん。どうして泣いちゃったの?」

私の涙に気付いた諒くんが近づいて、私に尋ねてきたけれど、私には答えてあげる余裕なんてない。

諒くんは、いつの間にかおじさんに抱っこされていて、おじさんが諒くんの遊び相手になっていた。



私の涙は、堰を切ったように溢れだし、止まりそうにもなく、挙句の果てに嗚咽まで漏れ始める。

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