千日紅の咲く庭で


「花梨の彼氏だった人、サッカー部のキャプテンだったじゃん。俺の部活の先輩。いつだったか部活に行ったら、花梨と先輩が付き合い始めたって大盛り上がりだった。」

どこか懐かしむような遠い目をして話す岳の横顔を少しだけ眺めようと、岳に視線をうつしたら岳だって同じように私の方を見ていたから、視線がかち合ってしまった。

「俺が小雪と付き合い始めたのは、それから何日か経ってからのこと。」


岳はやっぱりどこか顔を赤らめていて、それでいて少し照れくさそうにはにかんで笑った。
私は岳のそんな表情を見たことなんてなくて、岳の顔を見つめたまま動けそうにない。

「それって…」


それって、どういうこと?

そう聞きたかったのに、言葉は出なかった。

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