カーネーションの花束を君に
抱きしめたとき



彼女からはカーネーションの花の匂いがした



「カーネーション嫌いじゃないんです。





昔の事を思い出して……苦しいんです」



か細い声が



彼女の心の傷を表していた




「なら、俺がその傷を包み込んでやるから……



今だけは泣いとけ」





その言葉で豊音ちゃんは糸が切れたように



俺の服を掴んで泣いた






< 18 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop