魔法をかけて、僕のシークレット・リリー
*
車を走らせ、やって来たのは森の中。
運転は竹倉さんと森田さんだ。二台に分かれ、五宮家総出である。
「到着しました。蓮様はしばしここでお待ちを」
言いつつ竹倉さんがシートベルトを外し、私たちに指示を出していく。
荷物を運びこむ先は――五宮家の別荘だ。
「秘密基地みたいで、素敵ですね」
辺りを覆う木々の隙間から日光が差し込む。
別荘は木造で、優しいブラウンが印象的な二階建てだ。ログハウス風ということもあり、森の中にひっそりと佇む隠れ家のようで可愛らしい。
「ははっ、こんな立派な秘密基地あってたまるか」
私の短絡的な感想を、草下さんが笑い飛ばす。彼は荷物を担ぎ直し、「ほら行くぞ」と足を進めた。
この別荘へは年に数回、まとまった休みの度に訪れるのだそう。にもかかわらず清潔に保たれているのは、やはり定期的に点検を行っているからだ。竹倉さんと森田さんが、昨日二人で軽く見に来たらしい。
「クサカ! 待って~!」
背後から軽快な足音と共に、追い縋る声が聞こえた。振り返れば案の定、葵様が駆けてくるところだ。
「葵様、いけません! お車の中でお待ち下さい!」
「やだー! クサカと遊ぶー!」
車を走らせ、やって来たのは森の中。
運転は竹倉さんと森田さんだ。二台に分かれ、五宮家総出である。
「到着しました。蓮様はしばしここでお待ちを」
言いつつ竹倉さんがシートベルトを外し、私たちに指示を出していく。
荷物を運びこむ先は――五宮家の別荘だ。
「秘密基地みたいで、素敵ですね」
辺りを覆う木々の隙間から日光が差し込む。
別荘は木造で、優しいブラウンが印象的な二階建てだ。ログハウス風ということもあり、森の中にひっそりと佇む隠れ家のようで可愛らしい。
「ははっ、こんな立派な秘密基地あってたまるか」
私の短絡的な感想を、草下さんが笑い飛ばす。彼は荷物を担ぎ直し、「ほら行くぞ」と足を進めた。
この別荘へは年に数回、まとまった休みの度に訪れるのだそう。にもかかわらず清潔に保たれているのは、やはり定期的に点検を行っているからだ。竹倉さんと森田さんが、昨日二人で軽く見に来たらしい。
「クサカ! 待って~!」
背後から軽快な足音と共に、追い縋る声が聞こえた。振り返れば案の定、葵様が駆けてくるところだ。
「葵様、いけません! お車の中でお待ち下さい!」
「やだー! クサカと遊ぶー!」