魔法をかけて、僕のシークレット・リリー


さっきの私の言葉を引用して、蓮様が冗談交じりに諭した。

少しだけ冷静になった今、さすがに手をあげるのはまずかったな、と肩を竦める。反省はしているけれど後悔はしていない、といったやつだ。


「申し訳ございません……」


いくら腹が立ったといえど、相手は蓮様のご友人。しかも、「蓮様の」執事である私が椿様に乱暴をしたとなれば、蓮様の印象が悪くなってしまうかもしれない。

あれ、よくよく考えたら、かなりまずいのかなこれは。
今度はさっと血の気が引いて、クビの二文字が脳内でちらつく。


「あの、本当に言い訳のしようが……申し訳ありませんでした。煮るなり焼くなり、どうぞお好きに……」

「そうじゃなくて」


私の言葉を遮った蓮様は沈痛にこめかみを押さえると、小さく息をついた。


「いや……僕の言い方が良くなかった。叱ったわけじゃない。……怖いもの知らずだねって、言いたかっただけ」


つと視線を上げれば、彼と交わる。思いのほか穏やかな瞳の色に、ほっと胸を撫で下ろした。


「私はただ、かっとなってやってしまっただけで……」

「それ、すごい人聞き悪いからやめて。犯人の言い草だからね」

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