マザー症候群

 疲れた所で。目の前に甘党カフェの暖簾が美波の目を釘付けにした。
 「ここに入らない」
 「いいっすよ」
 美波と遊の二人は相談の結果、『抹茶庵』の暖簾を潜った。
 『抹茶庵』は、抹茶を使ったスイーツが売りの洒落たたたずまいのお店。
 二人はこの店の売り抹茶パフェ(抹茶わらび餅、抹茶アイスクリーム、いちご、小倉あん入り)を注文した。
 「おいしいわね」
 「おいしっすね」
 二人は抹茶パフェに舌鼓を打った。
 「じゃ、今回の旅行のルールについて話すわね」
 「ルールっすか」
 游が首を傾げた。
 「そうよ。今回の旅行は親子の設定でお願いしたいの」
 「親子っすか」
 「私と游は親子。だから、部長と呼ばないで欲しいの。お袋と呼んで欲しいの」
 「お袋か。ママでは駄目っすか」
 「駄目。お袋以外は罰金として100円頂くわ。その代わり、お袋と呼び続けてくれたら、ご褒美としてお小遣いを上げるわ」
 波斗は美波の事をお袋と呼んだ。だから、游からもそう呼ばれたい、と美波は思った。

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