マザー症候群
 
 「遊、あなたがいてくれて本当に良かった。もし、游がいなかったら、私は・・・」
 辛くて、辛くて。
 美波が少し涙ぐんだ。
 (私はどうなっていた事か。今でもこの現実に耐えられないのに・・・)
 美波は、游の存在の大きさをいま改めて実感させられた。
 「俺、お袋の子供になりてえ。心底、なりてえ。そして・・・」
 そして、美波をしっかり支えたい、と遊は思った。
 「ありがとう、游。ありがとね」
 息子をなくして、新しい息子を得る。
 辛い状況下で、美波にはたったひとつの希望だった。
 鏡湖池に映る金閣寺のように、今の游は美波にとってまばゆいばかりの存在だった。
 美波と遊の二人は、金閣寺の散策で二人の絆を新たにし、次の場所へと向かった。

 
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