マザー症候群
「波斗君、帰って来たんだろ」
口を開くや知美がこの話題を。
「ああ、帰って来たけど」
美波、出来るだけ愛想なく。
「可愛いかわいい波斗ちゃん。そやけど、彼はハンサムやなあ。もっちょっと若かったら。ほっとけへんねんけど」
真知子がこの話題に飛びついた。
「飛び切りのイケメンよね。でも、母親としては心配。変な虫が付かないか。乗っ取られないか。とね」
知美もにやにや笑いながら。
「そうでもないけど」
と、美波。
「うちならショーケースに入れて飾っとくけど。強力な防虫剤たっぷり入れてな」
「それでも、虫はつくもの。ああ、イケメンな息子持つのも悩みの種か」
「うはははは・・・」
「はっはっは・・・」
真知子と知美は、顔を見合わせて馬鹿笑いする始末。